早春 山荘雪景文(茶屋染帷子) 江戸中期
一領の全面にわたって文様を細やかに配し、裾を近景に見立て、文様の中心を腰の山荘風の屋体とし、肩を遠景として遠山や霞、山桜や松樹を配し腰より下部には梅花、松、竹などで早春の景をあらわしている。しかもそれらがすべて雪中の景色であるのが特色となる。雪をいただく花木に竹林が見られるのも類例が少ない。桜花には雪をおかない細やかな配慮が見てとれる。腰の部分の山荘には屋の内に机があり、羽扇が置かれ枝折戸の前には蓑と笠、武具の矛があり文様は中国的な内容であろうと思われますが、全く日本的な特色のある御所解文様に消化されております。 寸法からして小姓か身分の高い御方の帷子ではないでしょうか。 白木染匠資料室所蔵