紫地遠山霞に滝牡丹孔雀文様小袖 江戸後期文化文政(1804〜1828)
この聡模様の御所解風振袖は、公家方や大名家の姫君が着用されたものと思われます。教養と個性豊かな姫君で、文様の配置等でエリートな感性と教養がうかがわれます。一領の小袖を絵画に見たて、地色は高貴な色紫を使用し、肩には遠山連山に霞たなびき、松林の中に山桜が咲きほころび、背には岩燕をあしらい、深山からは滔滔と幾重にも滝が流れ落ち、岩上には左右孔雀を一組配し、花と戯れる孔雀がいかにも楽しく平和と遠久不滅の幸せを祈って製作されたものと思われます。
白木染匠資料室所蔵