■1. 京手描友禅証紙 発行規約 |
本規約は、京都工芸染匠協同組合が発行する京手描友禅証紙(以下証紙と称す)について定めるものである。 1 目的 2 発行者 3 証紙発行の申請 4 証紙発行対象作品 5 対象品種 |
1 「染匠」 というもの自体の地位確立 染匠=創作者・創作者=キモノプロデューサーであることをPRすること、前面に打ち出すこと。染匠が染元であることを認知して頂くためのPR活動をダイレクトに行うことである。 そのための工芸染匠の証紙であるという位置、目標を明確にしなけれはならない。 2 染匠の位置 私達染匠は、京友禅における染匠の立場「京友禅は染匠のプロデュースがあるからこそ、最高の加工技術を駆使した着物ができる。」これが最大の特徴であることを認識し、幅広い・質の高い技術技法を駆使し、洗練された意匠を表現する着物を創ることが出来るという「京友禅の染匠」という立場を自他ともに明確にしなければならない。 3 染匠の京友禅 京友禅というものが総合的な技術技法の集大成であり、あらゆるニーズ・すべての要求に応えられるがゆえに、その裏返しとして加賀友禅のような狭い意味での特徴というものが分かりずらいということがある。そのような意味から、京友禅という名称は今や染め物全般を表す「一般名称」のような位置づけになってしまっている。 また、着物の流通業者が京都に集中していることもあり、仮に他産地・外国産の商品であっても「京都の業者が取り扱った染呉服」であれば、イコール京友禅という扱いになっている。 そして一方、京友禅を模様の1ジャンルとしてとらえ、京友禅模様であるという意味から、創作地の問題を無視して「京友禅模様の着物」を総称して、京友禅と名付けられる場合もある。 このように、もはや「京友禅」という名称が一般名詞化している現状にも関わらず、「京」という一般消費者にとってイメージ豊かな言葉が付いているがゆえに、消費者向けには京都を全面に打ち出した言葉づかいになっているのではないか。 それでは、−般名称ではない「本当の京友禅」を確立させるためには、和装産業の中での京友禅→京友禅の中での染匠→染匠のはたす役割、これらを−般消費者の皆さまに理解して頂き、いかに「染匠」という立場が重要であるのか、そしてその「染匠」によって創られる着物の良さをアピールしていくことが、最も重要となる。 4 「染匠の京友禅」をアピールすること 私達自身が「本当の京友禅は、染匠によるプロデュースがあるから、質の高い着物が創れる」ということを訴え、目に見える形にして消費者皆さまにアピールする必要がある。生産地・創作技法等の表示・明確化をする必要がある。 5 組合事業としての証紙 ここで、経済産業大臣指定伝統的工芸品「京友禅」の伝統証紙との関係について触れなければならない。 申し上げるまでもなく伝産指定においては、型友禅と手描友禅の両方が「京友禅」として指定を受けている関係上、伝統証紙を貼ることの出来る商品は技術的に幅か広すぎて何にでも貼れる状況である。 京友禅の伝統証紙が貼ってあることによって、一般消費者にとって前段で述ペた疑いを完全に払い除けることは出来ない。これは、その指定条件のために起こる根本的な問題である。 これを改善するための最善の方法が、工芸染匠の証紙を貼ることである。伝統証紙は「伝統的な技術の証」・工芸染匠の証紙は「手描友禅・工芸染匠が創作した証」となるものであるということを共通認識としなけれはならない。これが確立されれは、手描友禅の明確化とその地位の確立にもつながる。 6 証紙事業の展開 販売される店頭で生産地や創作方法・等々が明示されている。消費者皆さまに購買選択の情報提供か明確にされ、正統な評価の元にチョイスされていくことか重要である。その場で、このように正確な情報提供がなされることが必要である。 |
日経ビジネス2001年10月15日号 特集 蝶理「京友禅を中国で守る」について 当京都工芸染匠協同組合の反論 私達京都工芸染匠協同組合は、京都において伝統的な京友禅の中の京手描友禅を継承している染匠という職種の業界団体であり、「京友禅」を作家ではなく、産業として京都で守っている集団・工芸染匠です。 本特集記事内容について、種々反論のあるところでありますが。しかし中国製の着物を染色加工するということ自体経済行為であり、海外進出されているわけですから、肯定は絶対に致しかねますが、「友禅を中国で守る」という経済行為・立場があることは想像出来ます。 しかし、我々が本記事上で、最も問題とするところが2点あります。 第1に、「京友禅」という言葉です。 第2は、中国で染色加工した着物の原産国表示に関する事項です。 第1 京友禅という言葉について タイトルにある「京友禅」の「京」とはどのような意味でしょうか。 「京友禅」と言う言葉を聞いて一般消費者が受け止めるものは、当然京都で作られたものと解釈することは当たり前のことと言えます。「京」と名前が付けば、京は地名の京都を指し、創作地を意味すると解釈する以外に考え付きません。ですから、「京友禅を中国で守る」というタイトル自体矛盾するものです。 友禅においては、京都の京友禅の他、金沢で創られた着物は加賀友禅で、十日町で創られたものは十日町友禅、他に東京や名古屋友禅など、全て地名により原産地が表されています。 それではなぜ、一般名詞である「友禅」と言わずに、あえて「京友禅」という言葉が使われているのでしょうか。 第2の原産国表示の問題 これは純粋に法律の問題として半製品である白生地(反物)に友禅染色のみを中国で行ない、縫製つまり仕立てを日本国内ですればこれは日本製として扱われることとなる。これが家庭用品品質表示の法律上の表示の回答です。ですから、法律上で中国で友禅染色された反物を半製品として輸入すれば、中国製と表示する必要はありません。これが和装品「京友禅」の表示に関する現状です。 しかし、法律上の問題ではなく、誤った情報を消費者に流すことを許すわけには行かないのです。中国で友禅染色された着物が京友禅として販売されていることが事実とすれば、これは見逃すことは出来ない大問題です。だれが京友禅として販売しているのでしょうか。 我々京友禅の創作者団体として、中国製の着物を染色加工する行動を批判するものではありません。我々は、フェアなルールで正当な評価を消費者の方々にして頂きたいと望むものです。中国製であれば中国製友禅であることを表示し、その上で私達が創作している京手描友禅と真正面から商品としての正当な競争を行いたいと考えています。 私達京都工芸染匠協同組合では、京手描友禅の産地証紙を発行しようとしています。これは京友禅業界初めての試みです。京都で創られた京手描友禅であることを表示する産地証紙です。それが今必要となって来ました。 これは特集記事において取り上げて頂いた通り、年間3万反の中国製の京友禅?が輸入されています。中国製品の輸入によって300年間続いた京手描友禅を滅ぼすわけにはいきません。 |
日経ビジネス 平成13年10月15日号 翔ぶ 「世界の工場」中国 ▼ 反常識の経営、中国で開花 蝶理――京友禅を中国で守る のバックナンバー紹介アドレスはこちらです。 日経ビジネス EX-PRESS 経営層のための経済・経営の総合情報誌、「日経ビジネス」のサイト。特集記事、バックナンバー等の紹介が中心。 http://nb.nikkeibp.co.jp/free/NBINDEX/20011225/101553/ |
紹介記事掲載の各新聞社一覧 京都新聞 掲載記事(2002/4/11) 日本経済新聞 地方経済面 (2002/04/18) 読売新聞 山城市内面 (2002/4/19)
京都府 商工部だより vol403 (平成14年7月15日 京都府商工部商工指導課 発行) |