白絹縮地四季草花花束に扇文様夜着 江戸時代後期
絹縮は晩春と盛夏の間、現在の時候で言えば五六月頃に着用された小袖や打掛に用いられる定めとなっていました。着用時期の短いこともあってか類例も少なく珍しいものです。また四季草花の花束に扇とか紗綾形あるいは青海波など具体的な文様と抽象的な文様とも交互に配し更に背縫を中心に左右で文様が食い違うようにした文様のスタイルは高位の女性の打掛の典型的なきまり文様です。夜具に仕立てなおされていますがおそらく御殿から拝領した打掛を町方では着用由来ないので仕立替えされたものと思われます。文様解説及び鑑定 美術評論家・共立女子大学教授 北村哲郎 白木染匠資料室所蔵