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蒸し・水元(水洗い)

  蒸し  

 引染が終わり、乾燥させた生地は、蒸し工程に入ります。これは引染された染料液を生地にしっかり定着させると共に、完全な発色を促すために行う重要な工程です。

 生地を蒸し器に入れると、冷えていた生地が蒸気の熱を得て昇温します。それと同時に冷却された蒸気が水となり、生地に吸収され、吸収量が増えるにしたがい生地上の染料液が溶解して、繊維の内部にまで浸透されていきます。そして、その染料のもつ色相と染色堅牢度が得られるわけです。

  水元(水洗い)  

 蒸し工程が完了し、完全に 染着された生地を多量の水で洗い流します。この工程は、生地に残った未染着の染料や薬剤、糊料を完全に洗い落とすために行う工程で、とても大切な工程といえます。生地に少しでも不純物が残留していれば、あらゆる故障の原因となるので、きれいに落ちるまで洗い流します。

<ポイント>
 水元の程度が悪いと生地の風合いをそこない、スレ、折れが発生したり、染色堅牢度を低下させる原因となります。
また、いったん乾燥すると、残留した不純物は一層落ちにくくなるので、この時にきれいに落とすことが大切です。

  揮発水洗  

 挿友禅工程が終了すれば乾燥させた後、蒸し・揮発水洗・水元工程を行います。
糸目糊に使用したゴム糊は、これまでは揮発油を使って水洗いしていましたが、揮発油は火災等の危険性が高いので、現在では揮発油に代わってパークロルエチレン(パークレン)などの使用が多くなっています。