染匠の役割

京手描友禅は、各技術ごとに、独立した機能の集合体といえます。
製作工程だけでも、約12〜18工程以上に分かれており、数々の高度な技術の集大成として、ひとつのキモノが創られます。
これらの技術と、統一された意匠の伝達に欠くことのできないシステムを司るのが、染匠の役割といえるでしょう。京手描友禅の製作工程の中で果 す染匠の役割は、商品企画機能、生産工程統括機能、製造元請機能 に大別されます。

商品企画機能

キモノを創作するとき、まず最初に構図・図柄・配色等を「キモノ」として企画することが必要です。
発注先( 流通業者や消費者 )の意向に沿った企画を起こしたり、染匠自らのアイデアで企画を立案して、発注先との交渉で商品企画が決定します。


生産工程統括機能

商品企画が決定すると、それにふさわしい加工方法と技術者を染匠が選択します。
そのためには、各加工の技法と技術者の個性や特色など、細部にわたる知識が必要です。
技術者の選択と工程の管理が商品の出来映えを大きく左右します。


製造元請機能

発注先から、染め加工の注文を受け、その加工に見合った白生地を選択します。(一般的には発注先から提供されます)その後の納品までの資金面までを含めた、全責任を染匠が負うことになります。
手描友禅のキモノが商品に仕上がるまでに、半年から一年を費やすものもあるので、こういう機能が作られました。


このように、染匠の役割は、京手描友禅加工において、キモノづくりのソフト面 から、作品創作全般を統括する、プロデューサーそのものです。